用途:クリニック(内科等)

種別:テナント新装

所在:福岡県

竣工:2021年3月

延床:約30㎡

施主:株式会社Inazma

基本設計:カンミレ,宮下巧大

実施設計:カンミレ

サインデザイン:植木葉月

協力:大浦理路(環境計画)

施工:JIJI/坂神修三

(家具・建具:家具工房 橙/尋木耕三、左官:加本聖香、ベンチ:福一工業、サイン:ワンダーラスト/宇佐幸弘、タイル:吉武タイル工業、ガラス:ザック、植栽:森の住人、電気:キビス電設、水道:藤原設備)
 

撮影:岡田和幸

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ゼロマチクリニック天神

駅直結の商業施設内、奥行約2m延床約30㎡の狭小区画において、アプリとの連携によるミニマムな医療体験・医療空間の実現を目指した。アプリの予約・診療システムにより、待合スペースに同時滞在する患者さんの人数を1~3人と想定して面積を抑えると同時に、保険証の提示や問診表の記入などを省略できることから、従来のクリニックにある受付カウンターをなくし、小さいながらもゆとりのある待合スペースを計画した。また、待ち時間が短縮されることから、平面計画や植栽計画でプライバシーに配慮しつつ、施設通路の突き当りに大きな扉が開いたような開放的なファサードを試みている。

待合スペースのベンチは壁との正対を避けるS型とし、機能的な主張を抑えるように人造石研ぎ出し仕上げの抽象的なボリュームとした。ベンチの背面に配置した植栽は、商業施設通路との緩衝帯となり、患者さんの視線の先に配置した植栽は、有機的な内部動線を誘導している。木漏れ日のような光が落ちるように照明を計画し、アプリのイメージカラー(深緑・オレンジ)とラップする色味かつ表情のある仕様とすることで、短い時間でも安らげる空間を目指した。

このような商業施設内で狭小なクリニックを成立させる課題のひとつが、待合室・診察室・処置室の各室の仕切り方だ。プライバシー配慮のために間仕切り壁を設け、法に則って必要な設備を各室に新設すると、設備のイニシャルコストが大きくなり、全体のコストバランスがとれなくなる。加えて、今回の場合は、区画の天井懐内に設備を新設する余地がなかった。そこで、サウンドマスキングシステムを採用し、視線を遮れる程度の高さの家具やカーテンで各室を緩やかに仕切る計画とした。これにより、設備の増設が最小限となり、かつ視線が抜けることで圧迫感が軽減された。

このプロジェクトでは、アプリシステムと連携した実空間のあり方を、エンジニアチームや医療スタッフと共に試行錯誤した。まとまった面積の区画を借りるハードルが高い駅直結の商業施設内等に、通勤や通学の移動中に気軽に立ち寄ることができる、アプリと連携した小さなクリニックを展開するためのプロトタイプとして、今後実際に運用する中でのフィードバックを元に改良を重ねていく土台となるような計画を目指した。

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